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芸能人音楽・芸能人の本を集めています。
芸能人別帳
竹中 労
筑摩書房 刊
発売日 2001-06
最後の芸能ジャーナリスト 2001-07-11
とにかく面白い!
特に、竹中が愛する俳優たち(三国連太郎、殿山泰司、西村晃、三木のり平、藤山寛美ら)を批評した「怪優列伝」と「不思議俳優シリーズ」は、彼らの芸の特質を鋭く洞察している。たとえば佐藤慶、小松方正、戸浦六宏という三人の悪役を分析して、「佐藤は生まれながらの悪の因子を持つ人物を表現することに成功し、小松はもろもろの運命に追いつめられた弱者(庶民)の悪事を見事に演じ、戸浦は日本の俳優で唯一、体制(権力)の悪を表現している」というように。
また「含羞の人」小沢昭一の芸の本質を物語るエピソードは抱腹絶倒もの(チャリティー・ショーに義理で出演した小沢は、自己の偽善性に恥ずかしさを感じ、ソープランドに出かけて変態行為の限りを尽くして自分がそんなにエライ人間ではないことを必死に確認しようとする)。
個性的な脇役だけではなく、誰もが認める名優(水谷八重子、杉村春子、森光子ら)を論じた「プライバシー女優論」の章も味わい深い。たとえば山田五十鈴は恋愛遍歴を芸の肥やしにしたというのが世評になっているが、竹中はそうは考えない。「花柳章太郎との恋が終わってずっと後に、彼から女形(男から見た女の理想像)の芸をまなび自己の血肉にした」と述べる。
その他、悲運の女優・嵯峨三智子の才能を惜しむ文章は胸が熱くなるし、「番外篇」の大橋巨泉の本質を「遊びにもマジメに取り組んでしまう正義感と闘争心の強い江戸っ子」とする評言も核心を衝いている。
現在の芸能マスコミには芸(能)に対する知識も関心も愛情もない「芸能レポーター」と称する連中がはびこっているが、若い人たちには、竹中のような真に芸能を愛するジャーナリストがかつて存在したことを、本書を通じて知って欲しい。
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